J-Credit · Forest · Map 2026

森林由来J-クレジット 全264件
マップで見る|価格・購入・選び方 2026年版

2025年に1t-CO₂あたり¥10,000を突破し、2026年は¥20,000に向かう森林クレジット市場。 全国264件の登録プロジェクトを地図で透明可視化し、購入経路と 失敗しない選び方を解説します。

公開
2026年5月17日
掲載件数
264件(J-クレジット制度事務局 登録プロジェクト)
対象読者
カーボンクレジット購入検討企業・サステナビリティ担当

1. 森林由来J-クレジットとは

J-クレジット制度は、省エネ機器の導入や森林管理によるCO₂の排出削減・吸収量を、 国がクレジットとして認証する日本の制度です。 2013年に温暖化対策法の枠組みで始まり、2026年5月現在で 1,500件以上のプロジェクトが登録されています。

このうち、森林管理プロジェクト(樹木の成長による吸収を認証)として登録されているものが 264件(2026年5月時点)あり、もりみえるでは全件を地理情報付きで可視化しています。

省エネ由来クレジットとの違いは以下の通りです。

項目森林由来クレジット省エネ由来クレジット
方法論森林経営活動・植林活動ボイラー更新・LED導入など
2026年価格目安取引所 ¥5,000台 / 相対取引 ¥10,000〜¥15,000/t¥1,500〜¥3,000/t
調達難易度高(玉切れ気味)
ストーリー性高い(地域・森林が紐づく)低い
TNFD/自然資本との親和性高いなし

2. 2026年の価格動向(取引所価格 vs 相対取引)

森林由来J-クレジットの価格を語るときは、「取引所価格」と「相対取引価格」を必ず分けて見る必要があります。 この2つは同じ「森林クレジット」でも 2〜3倍の差が出ており、混同すると判断を誤ります。

森林由来J-クレジット 価格水準(2026年5月時点)

取引チャネル 価格レンジ /t-CO₂
東証カーボン市場(取引所・約定ベース) ¥5,000 台
相対取引(プロバイダー経由・ストーリー付き) ¥10,000〜¥15,000

最終更新:2026年5月/価格は変動します。本セクションは月次で更新します。

背景を時系列で見ると:実証期(2023年頃)の約定では一時 ¥14,571 といった高値もつきましたが、 取引所での流通が進むにつれ 森林クレジットの取引所価格は¥5,000台に落ち着いています。 一方、地域・施業内容が明確で「ストーリー」を求める買い手向けの相対取引では、依然 ¥10,000〜¥15,000 の水準が観測されます。

価格チャート読込中…

図1:森林由来J-クレジット価格推移(取引所価格 ¥5,000台 と相対取引 ¥10,000〜¥15,000 の乖離)。一次情報(JPX・J-クレジット入札結果)から作成、月次更新。

今後の価格を左右する要因:

実務的な結論:コンプライアンス目的の量確保なら取引所(安い)、TNFD・ブランディング・地域貢献目的なら相対取引(高いがストーリー付き)。 「森林クレジットは高い/安い」という単一の言説は誤り。用途で価格帯が分かれるのが2026年の実態です。

3. 全264件の地理分布

もりみえるでは、J-クレジット制度事務局が公表する登録プロジェクト全264件を地理情報付きでデータベース化し、 地図上に表示しています。

日本地図上に264件の森林由来J-クレジット位置を表示
図2:森林由来J-クレジット 全264件の全国分布(もりみえるで地図表示)

地域別の傾向は以下のとおりです。

地域件数(概算)特徴
北海道約30件大規模国有林・道有林。1件あたりのクレジット量が多い
東北約40件岩手・秋田・福島中心。スギ人工林の経営活動が主
関東・中部約60件栃木・群馬・長野・静岡が多い。LiDAR整備済みの地域とも一致
近畿・中国約50件京都・兵庫・岡山が中心
四国・九州約80件高知・愛媛・宮崎・大分でヒノキ・スギの経営活動が活発

J-クレジット制度事務局の公式「売り出しクレジット一覧」は素のテーブルで検索性が低いため、 もりみえるでは全264件を都道府県・方法論で絞り込めるリストとして再構成しました。 キーワード検索とCSVダウンロードにも対応しています。

4. 購入の4経路

J-クレジットは、以下4つの経路から購入できます。それぞれ価格・最低単位・利便性が異なります。

① 売り出しクレジット一覧

J-クレジット制度事務局の公式ページ。創出者と直接交渉。最低単位は数十t〜。価格交渉余地あり

② 専業事業者

森林由来専門の販売事業者(全国森林組合連合会 FC BASE-M など)。窓口一本化で利便性高い

③ オフセット・プロバイダー

仲介事業者。小単位(1t〜)で購入可能。手数料上乗せだが手間最小

④ 東京商品取引所カーボン市場

2023年4月開設の取引所。価格透明・流動性高いが、森林由来は流通量限定

4経路を条件別に比較すると以下のとおりです。

経路最低単位価格水準価格透明性手間向く用途
① 売り出し一覧(直接交渉) 数十t〜 相対(¥10,000〜¥15,000) △ 交渉次第 大口・ストーリー重視
② 専業事業者(FC BASE-M 等) 数t〜 相対(中〜高) ○ 提示あり 森林特化・地域指定
③ オフセット・プロバイダー 1t〜 相対+手数料 ○ 明朗 個人・小口・手間最小
④ 東証カーボン市場 1t単位 取引所(¥5,000台) ◎ 公開約定 中(口座開設要) コンプラ用の量確保・最安

5. 失敗しないクレジット選び方:5つのチェックポイント

① 創出方法論を確認する

「FO-001 森林経営活動」「FO-002 植林活動」「FO-003 再造林活動」など複数あります。 TNFD ストーリーで使うなら、地域性・施業内容が明確な FO-001 / FO-002 が分かりやすい選択肢です。

② 地理的に「自社と関係する地域」かを確認する

自社工場の上流域、自社員の故郷、自社のサプライチェーン産地などに位置するクレジットを 選ぶと、社内外への説明力が一気に増します。もりみえるの流域マッチングで 「自社工場の上流に該当するクレジット」を抽出できます。

③ 認証期間を確認する

森林由来クレジットは1〜8年単位で認証されます。長期間の認証を持つプロジェクトの方が 「継続的に吸収している森」として説明しやすい傾向があります。

④ MRV(モニタリング・報告・検証)の質を確認する

近年は衛星画像・LiDARなど客観データによるMRVが求められています。 将来的に再認証時に「補強データ」が必要になる可能性も視野に。

⑤ 価格と数量の整合性を確認する

小単位だと割高、大単位だと割安。年間どれくらいのオフセットを行いたいか、社内方針と合わせて検討しましょう。

6. もりみえるで自社上流のクレジットを探す

もりみえるは、住所を入れるだけで (a) 取水域の特定、(b) 上流森林の抽出、 (c) その流域に位置する登録J-クレジット を自動で表示します。 これにより「うちの工場の水を涵養してくれている森林のクレジット」が 購入候補として浮かび上がります。

従来は、購入者が地名から自分でクレジットを探す必要があり、 「自社との地理的な関係」が見えづらい問題がありました。 もりみえるの仕組みは、購入のストーリー性を一段階引き上げます。

工場住所から上流J-クレジット候補を絞り込む画面例
図3:流域マッチングで「自社上流のJ-クレジット」を抽出する仕組み

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 森林由来クレジットは「グリーンウォッシュ」と見なされないか?
方法論に従い適切に認証され、二重計上を避けたうえで適切に開示すれば、グリーンウォッシュには該当しません。むしろ TNFD 時代では、ストーリー性のある森林由来クレジットの方が説明しやすい局面が増えています。
Q2. 個人でも購入できる?
はい、可能です。オフセット・プロバイダー経由なら数百円〜数千円から購入できます。ふるさと納税と組み合わせる事例も増えています。
Q3. 自社のCSR森林をJ-クレジットとして登録するには?
所有者またはJ-クレジットの「制度参加者」として、認証機関に申請する必要があります。手続きには1〜2年と数百万円の費用がかかるため、小規模プロジェクトはプログラム型登録(複数を束ねる)が現実的です。
Q4. 価格高騰はいつまで続く?
2026〜2027年は供給制約が続くため、上昇基調が予想されます。中長期では、新規プロジェクト登録の効率化(衛星MRVの導入など)によって供給が増え、価格は安定化に向かう可能性があります。
Q5. もりみえるは取引仲介もしている?
仲介・取引は行っていません。透明な情報提供と地理可視化に特化しています。購入は上記4経路をご利用ください。

8. 参考文献・出典

最終更新:2026年5月29日。価格は取引所価格(東証カーボン市場の約定)と相対取引価格を分けて掲載しており、月次で更新します。一次情報に基づく観測値であり変動します。